おなかの赤ちゃんは相続人?!胎児の相続権

投稿日:2014年10月20日

おなかの赤ちゃんは相続人になれるの?

法律では生まれる前の胎児をどう扱っているのでしょう?

妊娠中の妻を残し、夫が事故死…。
 なんて悲しいニュースをたまに見聞きしますが、こうしたケースでの遺産相続では、きっとこんな疑問が出てくるのではないでしょうか。

 

「夫が死亡した際、妻のおなかの中にいる赤ちゃんは、夫の財産の相続人となるのか?」
 さて、皆さんはどちらだと思いますか?

 

相続人同士で意見が対立しないよう、民法にはこうした問題の答えもちゃんと記されています。
 今回は、胎児の相続権についてお話したいと思います。

 

 

すべての「人」に与えられる法律上の「権利能力」

まず、民法では、権利や義務の主体となる資格として「権利能力」というものを定めています。

 

そして、この権利能力は、すべての「人」に与えられる(法人も含む)。となっています。

 

なんだか言葉の言い回しがむずかしいので要約すると…

 

人としての権利や義務を持つのはだれか?を決めているわけです。
 そしてその資格を持つのは、法人を含むすべての「人」だと言っています。

 

例えば、あなたが蚊に刺されて、とてもかゆくて不快な思いをしたとしても、蚊に対して、慰謝料を請求することはできませんし、逆にあなたがその蚊を殺しても、その蚊に対して賠償責任が生じたり、警察に殺人罪で捕まることもありません。

 

蚊は「人」ではありませんから、法律上人の権利能力を持たないことになるのです。

 

では、胎児は民法上「人」なのか?

では「人」の定義は何なのでしょうか?またいつから「人」として認められるのでしょうか?

 

どうやらこの辺が今回の疑問のポイントになってきそうです。

 

これについては「権利能力の始期」として民法第3条1項に記されています。

 

権利能力の始期

権利能力の始期には、人として権利能力が認められるのは「出生と同時」とされ、
 
「出生」の定義は「胎児が母体から全部露出することをいう」とする全部露出説が通説となっています。

 

これを読む限りでは、おなかの赤ちゃん(胎児)には人としての権利能力が認められない。
 
つまり、おなかの赤ちゃん(胎児)には相続権利は無いことになります。

 

でもこれでは、妻が夫の遺産をすべて相続し、出産後、子育てを放棄。子供を残し失踪した場合など、この赤ちゃんが生まれた後に、生きる上で必要な養育費用を失ってしまう可能性があります。
 
こうした理由から、実は、民法には胎児についての例外規定がちゃんと記されているのです。

 

第886条(相続に関する胎児の権利能力)

  1. 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
  2. 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

つまり今回の疑問に対する結論は…
 
民法上、胎児には原則、人としての権利は認めていませんが、
 
相続の場合には、例外として胎児にも相続の権利を認めます
 
ただし、生きて生まれてくることが条件です。
 
ということになります。

 

ちなみに、遺品の分配や処分をするのには相続人全員の同意が必要なため
 相続発生時、相続人に胎児がいる場合は、遺言での指示が無い限りは出産するまで待つ必要があります。

 

次回は、今日の続きとして
 相続人に未成年(胎児)がいる場合の相続、遺産分割についてお話したいと思います。

 

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